APEC首脳会議に出席し会見する岸田文雄首相(2022年11月29日、写真:REX/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 山際大志郎前経済再生相、葉梨康弘前法相に続き、寺田稔総務相も辞任に追い込まれた。

 旧統一教会とのただならぬ深い関係、死刑執行に関するとんでも発言、政治資金を扱う総務省のトップが政治資金規正法に違反するような行為をしていた等々、3人の行状はどれもがあきれ果てたものばかりだった。

 岸田文雄首相は、そのたびに「丁寧に説明責任を果たしてもらいたい」と、なんとかの一つ覚えのように繰り返してきた。だがこの3人の辞任理由をどう説明するのか。山際氏の場合なら、「旧統一教会とのズブズブの関係を、具体的に、正直に語りなさい」とでも言うなら、まだ分かる。だがこれができないから辞任に追い込まれたのだ。丁寧な説明など無理ということだ。

 葉梨氏の場合も同様だ。葉梨の問題発言の内容というのは、「法務大臣というのは、朝、死刑のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」「外務省と法務省は票とお金に縁がない。法務大臣になってもお金は集まらない。なかなか票も入らない」というものだ。

 これをどう説明しろというのか。説明など聞く必要もない愚かな発言だ。即刻、罷免するしかないものだった。森喜朗元首相などはその最たるものだが、自民党政治家はパーティーや講演会などで“受け狙い”で舌禍事件をよく引き起こす。葉梨氏の場合もその典型だ。