東京2020オリンピック・パラリンピック1周年記念セレモニー「TOKYO FORWARD」が開催された国立競技場(2022年7月23日、写真:アフロスポーツ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之(元電通専務)容疑者は、11月9日、広告大手「ADKホールディングス」などから計約5400万円の賄賂を受領したとして、東京地検特捜部から追起訴された。

 高橋容疑者の起訴は、これで4回目である。これによって一連の捜査は事実上、終結したと言われている。賄賂の額は、紳士服大手「AOKIホールディングス」、出版大手「KADOKAWA」など5社から合計約1億9600万円に上っている。収賄側の高橋容疑者、贈賄側の企業経営者ら合わせて15人が起訴された。大規模な汚職腐敗事件である。

 しかもその舞台になったのがオリンピック・パラリンピックなのである。「オリンピズムの根本原則」には、次のようにある。

〈オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、 バランスよく結合させる生き方の哲学である。(略)その生き方は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。〉

〈スポーツをすることは人権の1つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。オリンピック精神においては友情、連帯、フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる。〉