「電通頼み」の歪み
朝日新聞(11月13日付)が社説で、「とりわけ必要なのは、組織委が元理事の暴走を許した経緯をつまびらかにすることだ」と指摘している。その通りだ。本当に誰も、何も知らなかったのか。高橋容疑者があれだけ横暴な権勢を振るえば、少なくない人が怪しさを感じていたはずだ。だからこそ東京地検特捜部に情報が入り、捜査ということになったのではないのか。森喜朗前会長の女性蔑視発言など、組織委員会はまともに機能していなかったのだ。
前掲の朝日社説が、「(組織委員会が)スポンサーや発注・調達先の選定の透明性を決定的に欠き、多大な公的負担を強いるイベントの運営者として不適格だったのは明らかだ」「チェック機能が働かない背景には『電通頼み』もあった。・・・多くの社員が組織委に出向、担当部局の責任者を務めていた」と指摘している。
そもそもオリンピック・パラリンピックという巨大イベントを組織委員会方式で行い、公が関わる必要があるのか。そのあり方を根本から考え直す時である。
巨額の公的資金が投入されているが
今年(2022年)の6月21日、昨年の東京五輪・パラリンピックの開催経費が、総額1兆4238億円になるとの最終報告を大会組織委員会が公表した。このうち組織委員会が6404億円、東京都が5965億円、国が1869億円それぞれ負担するということだ。
招致段階の2013年に東京都が国際オリンピック委員会(IOC)に示した予算のほぼ2倍以上となり、招致の公約に掲げた「コンパクトな五輪」からかけ離れたものとなった。