高橋容疑者や賄賂を贈った企業経営者には、倫理規範も、フェアプレー精神のかけらもなかったということだ。オリンピック・パラリンピックは、彼らにとってはただの金儲けの場、道具でしかなかった。彼らは、五輪も、そこに参加したすべての選手の頑張りや関係者の努力・献身に対してもそれを足蹴にしたのだ。
これでいいのか、スポーツ界のトップたち
これだけ東京五輪を舞台にした汚職事件が発生したというのに、日本のスポーツ界のトップたちからまともな発言がほとんど聞こえてこない。
組織委員会会長を務めた橋本聖子氏は、「非常に残念。夢を打ち砕くような状況になっており、大変申し訳なく思う」と語り、日本オリンピック委員会(JOC)会長で、組織委員会でも副会長だった山下泰裕氏は、「これが真実であれば極めて残念」と語った。室伏広治スポーツ庁長官は、「報道されている東京大会の事案について大変重く受け止めている。仮に事実だとすれば、フェアと公平性が求められるスポーツの世界では決して許されるものではない」と述べた。
3人とも組織委員会の重責を担ってきた当事者だ。それがまるで他人事なのである。
山下JOC会長などは、札幌への招致活動に影響が出ることを心配する始末だ。「私は何も知りませんでした」で済む話ではない。それは、みずからを無能だと認めるに等しい行為だ。