(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
物価高に無策すぎる岸田政権
数日前、テレビを見ていたら、あるジャーナリストが、首相官邸に出入りする記者の話を紹介していた。その官邸記者は、「こんなに何もしない、働かない官邸は初めてだ」と語っていたという。
岸田文雄首相というと、独得の歩き方で官邸に入ってくる姿がしばしば映像で流される。しかしその後、何か有意義なことを行ったのかというと、まったく見えてこない。官邸記者が言うことももっともで、この間、決めたことはさほどない。あるとすれば安倍晋三元首相の国葬、新型コロナウイルス対策の行動制限なしという方針くらいではないか。
私は同い年の74歳の妻と健康のため毎日買い物に行く。自動車運転免許は返納しているため、買い物に行く手段は歩きかバスだ。ただ最近自治会長になった。その会合がバス路線のない場所でしばしば行われるため、仕方なく自転車を購入した。
物価高は深刻だ。ずうっと共働きで家計簿をつける習慣がなかったわが家は、食品などの値上がりに、はっきり言って鈍感だったし、あまり意識したこともなかった。だが今回の値上がりだけは、そんなわが家でも意識せざるを得ない。それほど深刻だ。例えば物価の優等生と言われてきた卵は、1パック20~30円程度値上がりしている。毎朝、フィルターでコーヒーを入れて飲むが、値段は変わらないものの内容量が減った。長い間生きてきたが、物価の上昇をここまで感じたことはそうはない。
だが岸田内閣が何か有効な手立てを講じてくれただろうか。まったく無策と言うしかない。