8月10日、内閣改造人事と党役員人事を行った後に会見する岸田文雄首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 第2次岸田改造内閣が10日に発足した。

 その直後の記者会見で、岸田文雄首相はあえて「いわゆる旧統一教会に関連する問題について申し上げます」と言及して、こう述べている。

「国民の皆さんの疑念を払拭するため、今回の内閣改造に当たり、私から閣僚に対しては、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました」

 信教の自由については憲法上保障がなされていることや、しかしながら、社会的に問題が指摘されている団体との関係については、国民に疑念を持たれるようなことがないよう注意しなければならないことを前提としての発言だったが、要するに、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と、距離を置くように、縁を切るように指示して、受け入れた者だけを閣僚に任命した、ということのようだ。「関係を点検」「厳正に見直す」とは、そういうことだ。

 しかし、これは「法の支配」における明らかな憲法違反だ。

「社会的に問題が指摘されている」統一教会だって国が認証した宗教法人

 そこで、まずは現状を整理してみる。

 名称変更が認められて「世界平和統一家庭連合」となった統一教会は、日本の宗教法人法によって認証された宗教法人だ。宗教団体の公益目的を保護するために、法によって法人格を認めるとする宗教法人法の意義からすれば、国が公益目的の宗教団体としてお墨付きを与えている。

 戦後施行された日本国憲法においては、「宗教の自由」「思想、良心の自由」はそれぞれ第20条、第19条で保障されている。