(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
2022年10月31日、韓国の江原道楊口郡(カンウォンド・ヤンググン)にある陸軍部隊安保展示館が爆発した。負傷者は展示物の運搬作業にあたっていた兵士2人で、幸いにも民間人の犠牲はなかった。
陸軍本部が調査をした結果、爆発したのは「M14対人地雷」であったことが判明した。
陸軍部隊安保展示館の改装のため、臨時保管されていた展示物を兵士たちが運搬していたところ、非活性化措置されていないM14対人地雷を踏んで爆発したようだ。展示用として使用が決まった地雷を、陸軍は非活性化措置(爆発しないようにすること)していなかった。
その後の調査で、全国の安保展示館や歴史館など130カ所から、非活性化措置されていない弾薬類が2000個ほど見つかったことが分かった。大部分が小口径弾であったそうだが、一部の対人地雷は安全クリップが外れた状態で、長いものだと爆発の危険があるまま30年間も展示されていたという。
軍当局は約2000個の弾薬類を回収し、模型弾と非活性化弾を除くすべての弾薬類を回収・破棄したことを2022年11月17日に発表した。そのため今後、展示されている地雷が爆発することはないだろう。ひとまず安心だ。
しかしなぜ、爆発の危険がある弾薬類が30年もの間展示されていたのだろう。軍当局はこれから民間警察と合同でその経緯を調査するという。
今回、問題になった江原道楊口郡にある陸軍部隊安保展示館は、ソウルの中心地から車で4時間ほど離れた場所に位置する。韓半島のやや西側に位置するソウルから、日本海方面に車を走らせた北朝鮮との国境付近が江原道楊口郡だ。