世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る一連の報道を受けて、悪質な勧誘や霊感商法をいかに規制していくか、といった議論が与野党協議で進められている。しかし、マインドコントロールの定義など、議論を進めるほど壁にぶつかってしまう。
統一教会の影響力に染まった自民党を浄化したい岸田政権は揃った法案から臨時国会に提出しようと先を急ぐが、宗教的な理屈が詐欺だとどのように定義するのか、そもそもそんなことは可能なのか、安倍元首相と統一教会や勝共連合はどのような関係にあったのかなど、ハードルも高い。
『新宗教と政治と金』(宝島社新書)を上梓し、日本の新宗教を研究し続けてきた宗教学者の島田裕巳氏に話を聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)
30年前にはフォーカスされなかった統一教会と政治の関係
──安倍元首相が凶弾に倒れてから、旧統一教会を巡る報道が30年ぶりに再燃しています。長らく新宗教を研究されてきた島田先生は、どんな印象をお持ちですか?
島田裕巳氏(以下、島田):自民党と統一教会の関係に注目が集まっていると感じます。30年前に統一教会が話題になっていたときは、たまたま自民党は政権の座になかった。だから、当時は政治との関係にはフォーカスが当たりませんでした。
──細川政権の頃ですか?
島田:そのあたりの時代です。統一教会が選挙を手伝っていることは当時もある程度は知られていました。しかし、政権与党ではなかったので批判は起こらなかった。今回は安倍さんや安倍政権時代の延長に批判が出ている、そんな印象を受けます。
──統一教会の教祖、文鮮明は1968年に、韓国で国際勝共連合を創設します。国際勝共連合が何を目的としたどういった団体だったのか教えてください。また、統一教会と国際勝共連合はどのような関係になるのでしょうか?