DHCの買収を発表したオリックス(提供:アフロ)

(山本一郎:情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)

 右派系ネット番組「虎ノ門ニュース」の放送終了が宣言され、界隈がさざめいていましたが、先日来、噂で出ていたスポンサーの健康食品大手DHC社の買収が発表されると、「ですよねー」という感じになってきました。

 今年81歳を迎えたDHCの吉田嘉明会長の退任も同時に発表され、吉田さんが個人的な取り組みとして始めたDHCテレビも、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が昨年放送した「ニュース女子」での沖縄基地反対運動を巡る騒動などがあり、いわゆる民族系右派の主張を取りまとめる場としての役割は終了する方向になりそうです。

 吉田さんと言えば、2014年に、今で言う日本維新の会〜的ポジションにあったみんなの党への献金を巡る問題が記憶に新しいところです。

 当時、党代表であった渡辺喜美さんは吉田さんからの8億円の借金で「熊手買った」と釈明。大騒ぎの末、あれだけ上り調子であったみんなの党が事実上崩壊してしまうほどのパワーを発揮されました。

 この時は、渡辺喜美さんの奥さんのお気に入りだったタリーズ創業者の松田公太さんが取りまとめ役となったものの、解党を避けることはできませんでした。それでも、このあたりに政治的な思い入れのある吉田さんの心情は燃え尽きず、その後は前述の通り、ネット放送や東京MXでの騒動へと発展していくことになります。

 今回のDHC買収はオリックスによって進められると報じられていますので、本当にそのまま着地するならば、上場企業であるオリックスが言論機関、それも創業者のある種の趣味でもある虎ノ門ニュースを続けるはずもありません。引き取り手がなければ、終了となるのも致し方がないことと言えます。