10月30日、新しい著書の発売イベントを行ったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(写真:ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[シャルム・エル・シェイク(エジプト)発]紅海に面する世界有数の海洋リゾート地シャルム・エル・シェイクで6日、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が18日までの予定で開幕した。世界197カ国から首脳約120人、代表団、環境団体、ビジネスの関係者ら約4万5000人以上が参加して地球温暖化対策について協議する。

開幕したCOP27(筆者撮影)

「今年は市民社会のためのスペースが限られている」

 気候変動が原因とみられる異常気象でパキスタンの3分の1が水没。ナイジェリアでは過去10年で最悪の洪水が起きた。さらに欧州で500年ぶり、米国では1000年ぶり、中国でも記録的な大干ばつとなった。そんな中で開かれたCOP27は最も脆弱な国が被る気候変動の壊滅的な被害をどう支援するのかという「損失と損害」問題ですでに紛糾している。

 昨年のCOP26では世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ摂氏1.5度に抑えるため、二酸化炭素(CO2)排出量を今世紀半ばには正味ゼロにすることで合意するなど、大きく前進した。しかしウクライナ戦争によるエネルギー危機で化石燃料に回帰する動きが逆に強まっている。欧州はロシアに代わる天然ガスの産地としてアフリカに熱視線を向ける。

 4年前、温暖化対策の強化を求めてたった1人で金曜日の学校ストライキを始めたスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(19)は10月30日、新著『気候の本(The Climate Book)』の出版記念会で「多くの理由からCOP27には行かないが、今年は市民社会のためのスペースが極めて限られている」とCOP27への不参加を表明した。