国際環境団体のネットワークから日本に授与された「化石賞」(9日、筆者撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[シャルム・エル・シェイク(エジプト)発]米中間選挙でジョー・バイデン大統領の民主党が苦戦するのを、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)を欠席した日本の岸田文雄首相はどう受け止めているのだろう。米民主党からはバイデン氏、ジョン・ケリー気候変動問題担当大統領特使、アル・ゴア元副大統領がCOP27に参加する力の入れようだ。

首の皮一枚で2年後の再選に望みをつないだバイデン米大統領

 選挙前の予想では共和党が地滑り的大勝利を収め、ドナルド・トランプ前大統領返り咲きの弾みになると囁かれていた。温暖化対策に積極的に取り組んできたとはとても言えない日本の政府関係者の中には、京都議定書に続いて2020年以降の温室効果ガス排出削減などの新たな国際枠組み「パリ協定」から離脱したトランプ氏の復権を待ち望む声もあるのではなかろうか。

 一方、民主党は下院でこそ敗れたものの上院で踏み止まれば、バイデン氏は2年後の再選に向け首の皮一枚で望みをつなぐことができる。そのようなギリギリの戦いとなった中間選挙直後にもかかわらず、バイデン氏は11日、COP27にやって来る。バイデン氏にとり、どうしてCOP27参加が大切なのか。

 超党派の持続可能エネルギー・ビジネス会議のリサ・ジェイコブソン会長は筆者にこう語る。

持続可能エネルギー・ビジネス会議のリサ・ジェイコブソン会長(7日、筆者撮影)

「バイデン氏がCOP27に参加し、米国が連邦レベルでも気候変動対策に取り組んでいることを示すのは非常に重要だ。米国はわずか1年の間に2つの大きな法案を通過させ、米国のエネルギー市場を再構築している。そのことを他国の政府に知ってもらう必要がある。大統領の権限は強く、民間部門にもっと頑張ってもらうための良いインセンティブになる」