アリババの創業者ジャック・マー氏(写真:アフロ)

 11月11日は、地球上で年に一番、モノが「消費」される日である。中国最大の電子商取引企業「アリババ」(阿里巴巴)が、14.4億人の消費者に向けて「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」のイベントを行う日だからだ。

 このイベントは2009年に、創業者の馬雲(ジャック・マー)元会長が始め、昨年は24時間で、5403億元(約10兆8900億円)も売り上げた。日本最大の楽天の流通総額(取扱高)の2年分以上の額を、たったの1日で叩き出してしまったのだ。「仕掛け人」のアリババ恐るべし、そして中国人の「爆買い」恐るべしである。

 だが、今年はいささか様相が異なっている。中国の友人たちに聞くと、一様に冷めているのだ。

「何がダブルイレブンだ」

「ダブルイレブンは周囲で話題にもなっていないね。私も家内も娘も、不景気の中で日々の生活に精一杯で、アリババのイベントを楽しむ余裕なんかないよ」(北京の国有企業の中堅幹部)

「今年4月と5月のロックダウンで、人生の計画は、すべてご破算となった。いまも中国各地でロックダウンをやっていて、人々は都市間の行き来すらままならない状態だ。何がダブルイレブンだという感じだ」(上海のイベント会社社長)