(福島 香織:ジャーナリスト)

 習近平は本当に毛沢東時代の計画経済社会を復活させるつもりではないか?

 10月31日、中国国務院住宅建設部と民政部が打ち出した「社区(コミュニティ)建設テストケース工作を完璧に展開することに関する通知」に接して、習近平は都市部に「供銷合作社(供銷社)」(生協)や「人民食堂」を復活させようとしているのではないか、と勘繰ってしまった。

社区に商業サービス施設を建設するよう指示

 通知の中身を簡単に紹介すると、各都市、区において、3~5の社区を選んでテストケース地点として、2022年10月から2年を期限として社区総合サービス施設を建設するように指示している。

 社区とは、一般にコミュニティと訳すが、もっと中国独特のシステムだ。中国の都市部は、もともと単位(タンウェイ)と呼ばれる党や行政組織、国営・公営の職場単位で居民の管理が行われてきた。それが改革を通じて規模を調整され、「居民委員会」という居民による自治組織(建前)が管理する形になった。この居民委員会は、街道弁事処など末端の行政機関と党の指導を受けており、習近平政権時代になってから、特にゼロコロナ政策においては、居民を厳しく管理監視する支配機構のような存在になってきている。

 この社区において、試験的に幼稚園や託児所、高齢者サービス、衛生サービスほか、食堂や家政サービスなど居民の利便をはかった安価な商業サービス施設をつくり運営するように、ということだ。