(譚 璐美:作家)
10月26日、中国共産党第20回大会が終幕し、党の最高規則である「党規約」の内容が公表された。この中で、「『台湾独立』に断固として反対し、抑え込む」という表現が新たに盛り込まれ、「祖国統一の大業を完成する」という目標が示された。また、2035年までに社会主義の現代化をおおむね実現させ、今世紀半ばまでに「社会主義現代化強国」を築く戦略も明記された。
これを受けて、AFP(10月27日付)は、米国のアントニー・ブリンケン国務長官が26日、米通信社ブルームバーグ・ニュースのイベントに参加した際のコメントを報道。ブリンケン氏は、中国は台湾に対する長年の「現状維持」路線を放棄し、台湾統一計画を加速させていると述べた。
台湾問題は自由主義vs全体主義の「天下分け目の戦い」
長年の「現状維持」路線とは、1972年2月にニクソン米大統領(当時)が中国を訪問し、米中共同声明(上海コミュニケ)を発表して、両国が国交正常化に向けて努力する一方、台湾は中国領の一部であるとする「一つの中国」原則を認知したことに続いて、1979年1月、米中両国が正式な外交関係を結び、直前に発表した第二次上海コミュニケでも「台湾は中国の一部である」と再確認したこと。さらに1982年8月、第三次米中コミュニケによって、米国が台湾への武器供与を削減する一方、中国は台湾を平和裏に維持していく方針を明示したことなどを指している。
その間、1980年に開始されたハイレベルな交流によって、米中対話は深化し、世界戦略や政治経済、軍事関係が親密になり、国連を中心とした多国間の武器の管理や麻薬取引の撲滅などで効果を上げてきた。まあ、この時代は「米中蜜月時代」だったといえるだろう。
今回のブリンケン氏のコメントは、こうした約40年にわたる現状維持路線が「台湾の危機回避に役立ってきた」とした上で、「それを変えたのは中国政府だ。中国は、現状維持はもはや容認できないと判断し、統一に向けたプロセスを早めることを望んでいる」と述べたのである。