「政治の最大の使命を推し進めていく上で、大事な一歩を踏み出すことができた一週間でした」
11月19日、岸田文雄首相は、カンボジアの首都プノンペンで開かれたASEAN関連首脳会議、インドネシアのバリ島で行われたG20サミット、タイの首都バンコクで行われたAPEC首脳会議という「外交3連発」を終えた記者会見で、このように成果を強調したのだった。
実際、岸田首相は、この3つのイベントの合間に、カンボジア、ベトナム、アメリカ、韓国、インドネシア、EU、ルワンダ、ドイツ、タイ、チリ、中国と、11カ国もの首脳との首脳会談をこなした。
だが先週の「アジア外交ウィーク」の「主役」は、岸田首相ではなく、中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席だった。習主席は、2020年1月から今年9月半ばまで2年半以上の間、新型コロナウイルスの蔓延を理由に、外遊を控えてきた。ところが先月、第20回中国共産党大会で、異例の「総書記3期目」を決めて盤石の権力基盤を築いた直後だけに、今回は自信満々に、元国民的歌手の彭麗媛(ほう・れいえん)夫人を伴って、国際舞台に乗り込んだのだった。
首脳会談18連発
習近平主席は、「3連発」の最初のASEAN関連首脳会議は、李克強首相に委ね、G20サミットとAPEC首脳会議に参加した。だがその間にこなした首脳会談は、18カ国に上った。
具体的には、アメリカ、フランス、オランダ、南アフリカ、オーストラリア、韓国、セネガル、アルゼンチン、スペイン、ドイツ、インドネシア、イタリア、日本、ブルネイ、ニュージーランド、パプアニューギニア、チリ、タイ。他にも、国連のアントニオ・グテーレス事務総長と会談を行っているので、これも加えると19回もの会談をこなしたことになる。まことに、その存在感は圧倒的だった。