11月8日、エジプトで開催されているCOP27でビデオ演説するウクライナのゼレンスキー大統領(写真:AP/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「地球の平和なくして効果的な気候政策はあり得ない」

[シャルム・エル・シェイク(エジプト)発]「地球の平和なくして効果的な気候政策などあり得ない」――紅海に面する世界有数の海洋リゾート地シャルム・エル・シェイクで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で8日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のビデオメッセージが流された。

「地球規模の共同行動が求められ、一発の弾薬を撃つことも許されない時に、侵略戦争を始めるのは地球上の生命を守るために闘う市民を小馬鹿にする輩たちだ。ロシアはウクライナの独立を破壊するため戦争を始めた。この戦争はエネルギー危機をもたらし、光熱費を少しでも下げるため何十カ国もが石炭火力発電の再開を余儀なくされた」(ゼレンスキー氏)

「ロシアの戦争は世界に深刻な食糧危機をもたらし、壊滅的な干ばつや大規模な洪水など、気候変動の現実に苦しむ国々を最悪の事態に陥れた。戦争は半年足らずでウクライナの2万平方キロメートル超の森林を破壊した。ロシア軍は欧州最大のザポリジャー原発(ザポリージャ州)を送電網から接続したり切り離したりして弄んでいる」(同)

「共通の目標のため団結する世界の能力を違法な戦争で破壊する輩を阻止しなければならない。地球の平和なくして効果的な気候政策などあり得ない。ロシア軍の侵略の脅威から、いかにして自分たちを守るかを考えるだけで精一杯の国も少なくない。気候災害から自分たちを救うために世界が協力できる環境にするにはロシア軍が銃を置かなければならない」(同)