一人の有能な軍人をむざむざ見殺しにした北朝鮮軍(写真:AP/アフロ)

(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)

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 韓国では、日本で11月6日に開催される国際観艦式のため、韓国海軍の艦艇が横須賀港に入港したことに対する批判が野党から噴き出している。批判は自衛隊が使っている「旗」に始まり、日本に再び侵略されるという妄想まで出てきている状況だ。

 北朝鮮も国際観艦式に参加する韓国への威嚇として、連日ミサイルを発射している。

 ここで取り上げたいのは、何かとベールに包まれている北朝鮮海軍についてである。私自身、海軍に親しい先輩や後輩がおり、そこで聞いた北朝鮮海軍の惨事として有名な話を一つお聞かせしよう。

 2020年8月28日、北朝鮮軍海軍司令部所属西海艦隊隷下の29旅団で、ある海上狙撃小部隊軍官が自害を試み、北朝鮮軍当局が大騒ぎになる事件が発生した。北朝鮮の満10年間に及ぶ兵役に絶望して自害する軍人は後を絶たないが、北朝鮮当局が今回の事件を深刻な問題として捉えたのは、この日が北朝鮮軍における海軍節だったからである。

北朝鮮海軍における海軍節が持つ意味

 北朝鮮で、8月28日は海軍節である。1949年8月28日に、金日成(キム・イルソン)主席が北朝鮮軍魚雷艇隊を組織した日を記念して、1972年6月3日、最高人民会議常任委員会で8月28日を海軍節に制定したのだ。

 北朝鮮は、今年の朝鮮人民軍創設90周年を祝う閲兵式で、海軍艦隊の軍旗を高く掲げ、金日成広場を行進する海軍部隊を次のように宣伝した。

「1960年代に、米国の情報収集艦プエブロ号を捕えた、英雄的な朝鮮人民軍海軍将兵の猛々しい姿を祖国は永遠に記憶している。祖国の海は、このような英雄的な朝鮮人民軍海軍があってこそ、昨日も、今日も、明日も、永遠に金城鉄壁である」

 北朝鮮軍において、海軍節は海兵隊の英雄性を称える象徴的な祝日であり、誇らしい記念日なのだ。