北朝鮮の金正恩総書記(提供:Korean Central News Agency/Korea News Service/AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返している。これは、1月31日から行われている大規模な米韓合同演習「ビジラント・ストーム」に反発し、牽制するための挑発である。

北方限界線を超えてミサイルを撃ち合う北朝鮮と韓国

 11月2日、早朝から午後まで、北朝鮮は20発以上の短距離弾道ミサイルや地対空ミサイルを発射した。このうち、短距離弾道ミサイルは、日本海上の北方限界線(NLL、南北境界線)を超えて、韓国領海近くの公海上に着弾した。

 韓国軍も対抗措置として、戦闘機から空対地ミサイル3発を発射し、NLL北側の公海上に着弾させている。北朝鮮と韓国とのミサイルの撃ち合いという様相を呈し、国際社会の懸念を生んでいる。

 さらに、翌3日朝、北朝鮮は3発の弾道ミサイルを発射した。この3発とは別に発射されたと見られるミサイルに対して、日本政府は、宮城、山形、新潟を対象にJアラートで警報を発令した。しかし、実際は日本列島を越えず、日本海上空でレーダーから消えたという。

 韓国軍によると、確認された3発のうち、7時40分頃に平壌郊外の順安(スナン)付近から発射したのは長距離弾道ミサイルで、飛行距離760km、高度1920km、速度マッハ15であった。これは、新型ICBMの「火星17」だと見られているが、実験は失敗したようである。