中国に定着した日本発の言葉
以上、中国発でありながら日本に定着している3つの漢字単語を紹介しましたが、逆に日本発ながら現代中国で定着している漢字単語も少なくありません。
たとえば「人権」や「自由」といった、明治以後に日本で成立した西洋思想に関する単語がそれです。また、「浪漫」といったシャレた単語も定着しています。さらには、「魔法少女」「萌」「異世界転生」などのアニメ関連用語も、中国の若者の間で使われています(一部の若者ですが)。
このように日中間で単語が共有されるのは、言うまでもなく両国が同じ漢字を用いていることが何よりも大きいでしょう。発音が異なっていようとも、文字が共通していることからそれとなく意思疎通ができてしまう点で、ある意味、日中間でしか起こらない相互交流と言えます。
ただ最近は、政府が「プレミアムフライデー」(もはや死語ですが)、「クールワークキャンペーン」(厚労省の熱中症予防対策キャンペーン)など、漢字を使わない横文字の単語ばかり打ち出しているのが気になります。筆者は漢字こそ至高と考える漢字信奉者ではありませんが、見るだけでおおよその意味を理解できる漢字がせっかくあるのだから、現代日本においても、もっと活用の幅を広げてほしいと願う次第です。