霊験とはいつ発揮されるのか

 恵観師は500年続く修験道の家に生まれ、永田町の怪僧という渾名があり、政界、財界、スポーツ、芸術など幅広い分野で多くの人脈、支持者がおり、歴代首相の指南役、日本のドンなどとも評されている。

 科学が発達した現代において、「加持祈祷などまじないに過ぎない」という人も多い中、恵観師のもとには前述のように医者に匙を投げられた人たちが師を頼りに寺に足を運んでいる。

 不思議なことに祈念により「苦痛が軽減されて癒された」「不振が続いた事業が持ち直した」「不登校の息子が学校に行きだした」など、かねて問題となって解決がつかない懸案が良い流れに向かう人も少なくないという。

 さて、『秘密事相 その原理と実践』の内容だが、タイトルにある「事相」とは、真言密教には「事」と「理」があり、「事」は」呪術、「理」は教学、つまり学問を指す。

「事相」とは呪術の修法全般を意味する。

 京都教王護国寺(東寺)長者である飛鷹全隆師は「密教の事相を体解する それは真言秘密の心臓部に触れることにほかならない」と、事相が密教において特別なる核心であることを明示している。

 本書は「霊験に至らずにいる者には、その自分の中にある「無垢なる力」を感得できていない。よって「秘密」と呼ばれる」という下りから始まる。

 真言宗の祈りとは呪術であり、それは加持祈祷のことを指す。

 霊験を誘う加持祈祷。弘法大師が開いた真言宗は霊験の教えであり、霊験とは人為を超えた力を発揮し、神秘の力を操ることをいう。

 かつては霊験を自在に操るのが密教行者とされてきたが、現代の真言宗の僧侶に霊験を扱う密教行者は、聞かない。

 また、本家本元の真言宗の僧侶で「霊験は存在する」と信じて疑わない人も、そう多くはない。

 空海は、当時最先端だった仏教思想である密教を学ぶため唐に留学し、その奥義を修得して帰国。真言宗を開いた。

「真言」とは、大宇宙を司る大生命体を擬神化した大日如来の教えが「真実の言葉」という意がある。その大日如来の言葉を唱えることで自らが如来と一体となるというのがその本意だという。