中間選挙の争点を変えたかったペロシ

 米国内に浸透している反中国ムードを敏感に嗅ぎ取ったペロシ氏にとっては、秋の下院選は下院議長として取り仕切る最後の選挙だ。

 絶対に負けられない選挙だ。米主要メディアの議会担当のベテラン記者J氏は、 筆者にこう漏らす。

「バイデン政権になって史上最悪のインフレ、物価の高騰で民主党にとっては良い材料は何もない。そこでペロシ氏が白羽の矢を立てたのが台湾だった」

「米国民の52%が台湾有事の際の米軍出動を支持している。反中国=台湾支持の構図を選挙戦略に取り込んだのだ」

 ところがどっこい、共和党も手をこまぬいてはいない。

 ペロシ訪台が騒がれ始めるや、上院の共和党議員26人がただちにこれを支持する共同ステートメントを発表した。

 言い出しっぺはミッチ・マコーネル院内総務(ケンタッキー州)。夫人は台湾系のイレーン・チャオ(=趙小蘭、労働・運輸各長官を歴任)だ。

https://www.wsj.com/livecoverage/nancy-pelosi-taiwan-visit-china-us-tensions/card/republican-senators-voice-support-for-pelosi-s-taiwan-visit-LRr3KxaP4Xv3kHay5yXh

 一方、出遅れたのは下院共和党だ。

「ペロシ憎し」のためから同氏に訪台同行を勧められた外交委員会の筆頭理事、マイケル・マコール氏(テキサス州)はこれを拒否。

 その理由は「今行けば米中の緊張をエスカレートしかねない」だったという。

https://www.nbcnews.com/politics/congress/pelosi-invited-senior-lawmakers-join-taiwan-trip-top-republican-says-rcna40242

「ドナルド・トランプ前大統領はマコール氏を推薦支持しており、マコール氏としてもトランプ氏とは『犬猿の仲』のペロシ氏の顔など見たくもない心境だったのだろう」(テキサス州の地方紙記者)