そうした中で終始一貫しているのは人権擁護。中でも中国の人権抑圧政策には憤然と立ち向かってきた。

 1989年の天安門事件発生2年後の91年には天安門の現場に赴き、犠牲者に花を手向けて鎮魂。その後、チベット、香港、ウイグル自治区での人権抑圧を激しく批判し続けてきた。

 今回の台湾訪問はそうした中国の自由・人権に対する「暴挙」への抗議の一環と言える。

 だが、ブラウン氏が指摘するように、ペロシ氏にはもう一つの狙いがある。同氏にとって「台湾」は、選挙地盤からみて重要なファクターなのだ。

 選挙区のカリフォルニア州12区は、サンフランシスコ市の3分の2を占める選挙区だ。人口87万4000人のうちアジア系は30万人。そのうち20万人は台湾系・中国系だ。

 チャイナタウンを拠点に台湾系は経済基盤も強固で政治的発言力を持っている。ペロシ氏にとってはないがしろにできないカネと票と言える。35年連続当選の原動力なのだ。

https://www.sfchronicle.com/projects/2022/san-francisco-asian-population/

 さらにペロシ氏は、今年の中間選挙後(民主党が勝っても)下院議長には留任しないと公言している。

 同氏の後継候補にはステニー・ホイヤー院内総務、ジム・クライバーン院内幹事、キャサリン・クラーク院内総務補佐、ハキーム・ジェフリーズ下院議員総会議長など数人の名前が挙がっているが、いずれも帯に短し襷に長しのようだ。

 人権を旗頭に後継者選びでも強い発言権を維持しつつ「勇退」したいところだろう。

 さらには下院議長として議会人として、マイク・マンスフィールド(院内総務)のように名を残したいのだろう。