同じくらいひどいのは、同じ場所にとどまるために走り続けなければならない状況になることだ。
通貨価値の下落に取り残されないように、販売価格の再交渉を四六時中行わなければならない。これは当事者を疲労困憊させる。
社会をも蝕む。企業とサプライヤー、企業と顧客、そして大家と店子との間に摩擦を生じさせるからだ。
恣意的な富の再分配
このことは3つ目の大きな問題、すなわちインフレが富の再分配に及ぼす影響と関係する。
インフレ「税」を逃れようとする取り組みは大抵、結局のところ、税を誰かに押しつけることになる。
企業は当然ながら、インフレがもたらす不安定性について不満を口にする(もっとも、トルコではほとんどの場合、内輪の場でぼやくだけだ)。
だが、トルコの大きな企業は急激な物価上昇から身を守る資源やノウハウを持っている。
富裕層には不動産やハードカレンシー建ての預金などもあるから、資産を守ることができる。
それ以外の人々はそこまで恵まれていない。
先日行われたある世論調査によれば、基本的なニーズさえ満たせなくなっているトルコ国民は全体の3分の1を超えている。
かろうじて満たせている人も合わせれば、その割合は5分の4に跳ね上がる。
これを見る限り、インフレで最も苦しんでいるのは貧しい人々だと言えそうだ。だが中間層も痛みを受けている。