(英エコノミスト誌 2022年7月2日号)
戦争の初期に善戦したウクライナ軍が押されている。次の一手は何か?
ウクライナは短期戦を制した。機動力があり機転も利く部隊はロシア軍にひどい損害を与え、キーウ(キエフ)陥落計画を頓挫させた。
そして今、戦いは長期戦になっている。
どちらかが戦意を喪失するまで兵器や人命、資金が費消され続ける。今のところ、これはロシアが勝っている戦争だ。
東部の要衝を制圧
ロシア軍はここ数日間で東部の要衝セベロドネツクを奪い取った。
現在はリシチャンスクに攻め込んでおり、近いうちにルガンスク州全域を支配下に置く可能性がある。隣接するドネツク州の北部の都市スラビャンスクも脅かしている。
ウクライナの指導者たちは、火力で負けているうえに弾薬も不足していると語っている。ウクライナ政府の推計では、1日当たり200人もの兵士が命を落としている。
ウクライナにとっては幸いなことに、これで終わったわけではない。ロシアの進軍ペースは遅く、大きな犠牲を伴っている。
北大西洋条約機構(NATO)規格の兵器と斬新な戦術、十分な資金援助が得られれば、ウクライナがロシア軍を追い払える可能性は十二分にある。
一度失った領土の奪還が困難だとしても、ウラジーミル・プーチン大統領の作戦の無益さを立証することはできるし、ウクライナが西側志向の民主的な国家として台頭することもできる。
だが、そのためには持続的な支援が必要だ。そして、その支援に疑問が残る。
長期戦はロシアに都合がいいが・・・
表面的には、長い戦争はロシアにとって好都合だ。
ロシアもウクライナもかなりの量の弾薬を使っているが、ロシアにはまだ大量の蓄えがある。ロシア経済はウクライナのそれよりもはるかに大きく、状態も良好だ。
ロシアは勝利をもぎ取るためならテロにも手を染め、戦争犯罪でウクライナ国民の戦意喪失を狙うことも厭わない。