(廣末登・ノンフィクション作家)
子どもの「不登校」や「ゲーム依存」が増加している。悩んでいる家庭も少なくないだろう。
そこに追い打ちをかけたのがコロナ禍だった。コロナ感染や感染回避のための欠席が増えたことで、不登校やゲーム依存傾向が強まってしまった。もはやこれらは社会問題と呼んでもいいかもしれない。
本コラムでは、文部科学省が行ったコロナ禍中の調査結果を概観した上で、実際に、不登校とゲーム依存傾向に苦しんだ母親たちの経験を紹介する。本稿で紹介する二人の母親は、子どものゲーム依存を乗り越え、その経験を社会に還元すべく法人を立ち上げて、同じ悩みに直面する親の支援に日夜取り組んでいる。
不登校の小中学生は19万6127人
文科省による「令和2年度・問題行動・不登校調査」によると、2020年度の小中学校における不登校児童・生徒数は19万6127人(2.05%)にのぼる(小中学校在籍児童・生徒数957万8674人)*。これは前年度と比べて、人数にして1万4855人増、割合にしておよそ0.1%の増加である。もう少し長い期間で見ても、不登校状態にある小中学生は、人数、割合ともに増加傾向にあるのだ。
*「不登校」には、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的理由」、「新型コロナウイルスの感染回避」による者を除く)を計上。
かてて加えて、コロナ禍中で得られた気になるデータがある。それは、若年層のゲーム依存傾向についてである。
2021年度に文科省が行った「不登校児童生徒の実態調査結果」をみると、保護者から見た欠席時の中学生の様子について「インターネットやゲームを一日中していた」とする割合は、「よくあった」、「ときどきあった」を併せて68.2%と高い割合を示していた(図1)。
さらに、株式会社GameWithによる「第2回コロナ禍におけるゲームプレイ実態調査」では、「コロナ禍において、ゲーム時間が増えましたか」という問いに対する回答で、10代では「やや増えた」、「かなり増えた」を合わせて実に72.9%となっている(図2)。
なお、前述の文科省調査では、不登校の子を持つ保護者を対象としたアンケートにおいて、「子供にどう対応していいのか分からなかった」の項目で「あてはまる」「どちらかといえば当てはまる」の欄にチェックした人は、中学生の親では60.9%であった。