私の経験:政界で

 カルト教団にとって、権力者による庇護ほどありがたいものはない。霊感商法などの詐欺を犯せば、警察、検察の捜査の対象となるが、それを阻止するためには、権力に頼るのが一番である。

 そこで、永田町詣でを行うのである。たとえば、先述した「国際勝共連合」という組織が使われる。「共産主義と戦う」という目的の団体であるから、韓国では朴正煕元大統領や日本では岸信介元首相が支援したように、保守勢力にとっては仲間となりうる勢力である。

 1970年代から、選挙応援を通じて保守政治家に食い込んでいく。野党の勢力が強まり、危機感を持った自民党は藁にでもすがる気持ちで勝共連合の応援を受け入れるのである。

 勝共連合は、夫婦別姓やジェンダーフリーや同性婚に反対しているので、自民党でも極右勢力に近い。

 私は、衆参両院の自民党議員の選挙応援に駆り出され、仲間のために何度も街頭演説を行ったが、右寄りの議員の集会に勝共連合や日本会議のメンバーが大挙して応援に駆けつけているのを何度も見ている。

 今回の参議院選挙比例区に出馬して当選した自民党の井上義行議員も統一教会の集会に参加し、信徒だと紹介され、支援を約束されている。本人は賛同会員だという。

 保守系の政治家には、勝共連合のみならず、安倍元首相がビデオ・メッセージを送ったUDF、さらには「世界平和女性連合」という名称の団体などが接近してくる。稲田朋美議員が、2010年4月にこの世界平和女性連合の「春のつどい」に参加している。

 どういうわけか、私の知る限りでは、自民党の中でも右寄りの女性議員が、統一教会の集票に頼るケースが多い。