(舛添 要一:国際政治学者)
7月10日に投票が行われた参議院選挙は、自民党の大勝、野党の敗北に終わった。投票日の2日前に、安倍元首相が銃撃され死去するという事件が起こった。警護の問題点については、事件直後に緊急投稿したが*1、今の警備は銃による犯罪を前提にしないシフトなので防ぎようがない。警備の再検討のみならず、街頭演説を中心とする選挙運動のあり方も再検討すべきときに来ている。
*1 安倍元首相銃撃事件、要人警護の難しさが露呈、街頭演説は危険と隣り合わせ(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70915)
また、この事件が有権者の投票行動に影響を及ぼしたことも否定できない。とくに態度未定であった無党派層を自民党候補への支持につなげた効果があった。まさに「弔い合戦」という意味があったのである。
新型コロナウイルスの感染、またも拡大
選挙は終わったが、新型コロナウイルスの感染は爆発的に拡大している。第7波の到来である。7月14日の東京都のコロナ感染者は1万6662人で、先週の水曜日が8529人だったのでほぼ倍増している。このため、東京都は、感染状況の警戒度を最も高いレベルに引き上げることを決めた。医療提供体制の警戒度も上から2番目に引き上げる。
全国では、新規感染者は9万7788人である。私は4回目のワクチン接種を終えたが、接種対象者を拡大すべきである。若い世代の感染が増えているし、家庭内感染も増加しているからだ。前回の「舛添直言」でこのテーマについては、詳しく論じた*2。
*2 【舛添直言】来てしまった第7波、「4回目のワクチン」対象者の拡大を急げ(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70910)
4回目のワクチン接種の対象を拡大する件については、13日、政府も重い腰をあげ、医療や介護に従事する者にも拡大する方針に切り替えた。3回目までの接種も、成人のみならず、子どもにも対象を広げることが有効である。新規感染者の6〜7割が30代以下であり、この対策は意義がある。
韓国でも感染が急拡大し、13日には新規感染者が2カ月ぶりに4万人を超えた。そのため、これまで60歳以上としていた4回目のワクチン接種の対象を50歳以上や基礎疾患のある18歳以上に拡大することを決めている。