(舛添 要一:国際政治学者)
新型コロナウイルスの感染がまた拡大している。この状況に政府は、7月前半に予定していた観光支援策の「全国旅行支援」を延期することを検討している。回復への道を歩もうしている業界にも大きく影響し、景気の悪化も懸念される。
感染再拡大の理由は「BA.5」への置き換わり
7月7日(木)の全国のコロナ感染者は4万7967人と、2万3442人が感染した前週の木曜日の倍増である。東京都のコロナ感染者は8529人、先週の木曜日は3621人なので5000人近くも増加している。急速な感染拡大であり、新規感染者数が前週を上回るのは17日連続である。
東京都の専門家会議は、このペースで感染が拡大すると、1カ月後には感染者が5万5000人になると予想している。
感染急拡大は東京だけではない。西日本でも急増しており、鳥取県、島根県、愛媛県、熊本県、佐賀県は、このところ過去最多を記録している。
感染再拡大の原因として考えられるのは、オミクロン株BA.5の流行である。感染力がBA.2よりも強く、ワクチンなどで獲得した免疫をすり抜けるという。ただ、重症化の度合いについては、BA.2と大きな差はない。つまり、さほど重症化はしないという。
また、規制が緩み、行動制限もほとんどなくなって、人出が増えたことも影響している。さらに、暑くなってエアコンを効かせるために、換気が不十分になり、感染を促進する環境となっていることも原因の一つだろう。
ワクチン接種から時間が経過したために、免疫効果が減退したことも感染再拡大の理由である。