半袖のシャツしか着ていない兵士の両腕には派手なイレズミが入っている者が数人。
明らかに職業軍人ではなく、元来ヨレたオッサンが、自らの傷口などを見せ、疲れ果てた表情で飢えや寒さ、治療の方法のない怪我や慢性疾患を訴えています。
どうみても、末期症状としか言いようのない「軍隊」がドンバスに送り込まれている。
さらに驚くべき事に、この最前線には徴兵検査がなく、健康チェックを経ないまま「精神疾患(mental illness)」の子供たちなどが不法に動員されているというのです。
つまりプーチンは「まじめに」戦争するつもりがない。
むしろ、そこそこの確率で殲滅されることを織り込み済みで、病弱なにわか作りの兵隊をドンバスに投入している。
プーチン「戦争遊戯」の本質をこれほど如実に表す例はないでしょう。
2日でウクライナが獲れると思って見たり、まともな戦略を立てず戦車が渋滞を起こしてみたり・・・マンガのような愚かな戦争のすべては、ホイジンガの「遊び」というキーワードで括れます。
ヒトラーも興じた「象徴交換」遊戯
この前線からの報告を見、聞いて、最初に思い出したことが2つあります。
一つはナチス・ドイツの民族浄化が、精神疾患者の「安楽死」から始まったこと。
親しくご一緒した作曲家のカールハインツ・シュトックハウゼンは、お母さんが軽度のノイローゼで入院し、骨壺が帰ってくる経験をしています。
「生産性の低い人間」とレッテルを貼った順に「最終解決」のルーチンに回していった。
もう一つは、そのナチスの強制収容所手法をベルリン北部のザクセンハウゼンで学んだスターリンのソ連は、ただちにそれを転用してシベリア開発に悪用したこと。
元来「シベリア」はロマノフ朝ロシアにとって便利な場所でした。