一茶は舟から客に声をかける女郎の様子を「遊女めが見てけつかるぞ暑い舟(娼婦が蒸し暑そうな舟からこっちをみて居やがる)」と活写している。

 ちなみに船まんじゅうは32文と夜鷹より、わずかに値段が高かった。

 川柳に、「素見(すけん)が七分買うやつが三分なり」がある。

 熱心に張見世(客が遊女を格子越しに見立てる)で遊女を物色している男のうち、実際に「登楼」するのが3割。7割が「素見」で、ただの冷やかし客が圧倒的に多いことを表している。

涼しさにぶらく地獄巡り哉

 この句は、一茶が道に連なる私娼窟の下流遊女をひやかした時の様子を映し出したもの。

 遊女は、貧しいながらも「素見」の客に「すいつけ煙草(火を吸いつけて相手にさし出すタバコ)」をふるまうこともあった。

 本来ならば吉原など上級の遊女と遊びたかった一茶だが「素見」か、夜鷹を買うのがせいぜいだったようで、自分と同じように過酷な境遇に、あえいでいる下流の娼婦を貶めることはなかった。

夜鷹は最下級のもぐりの娼婦で取り締まりの対象となっていた。その客は下級の奉公人・下級労働者が多かった。その名の由来は夜になると横行するため、または、夜、飛びながら獲物を捕食する鳥になぞらえたものとされる