小林一茶は松尾芭蕉、与謝蕪村と並ぶ江戸時代を代表する俳人である。 こうした句がよく知られるが、江戸での奉公生活や、その後の安定しない俳諧行脚の生活など、自身の肌身に感じた生活の苦労、人生の矛盾、貧しさにあえぐ人々の日常の姿を投影した句も多い。 庶民らしい親しみのある優しい表現で、目に映る、人・小動物・昆虫など、小さいもの、弱いものを好み、それを自分自身に置き換えて表現し、それまでの俳句とは一線を画した「一茶調」と呼ばれる独自の作風を確立。 その分かりやすい表現の中には「生」をモチーフにした、時代を超えて共感できる人間らしさが漂っている。 一茶は1763年に長野県上水内郡信濃町に中位クラスの農家