遊休地再生でわかった二つのことと、導かれる当然の結論
出だしの勢いだけでなんとか乗り切った遊休地再生の第一歩。もう一度やれと言われると、その過酷さを知ってしまっただけに「うっ」と詰まる。この場所はその後、地域のベテラン勢の力を借り、畑らしさを取り戻すことができた。今、植え付けたいちじくの苗木から新芽が伸び始めている。
「遊休資産」を再生させる過程を経て、本当の「資産」として活用する取り組みへと段階は移っている。
一連の再生作業に取り組んで、わかったことが二つある。一つは、人がいればよみがえる、ということ。その人物は、草刈りの初心者だろうが、農業の素人だろうがかまわない。「やろう」という意思があることを上回って、重要なことはない。そう思う。
わかったことのもう一つは、そうは言っても、一人の人間が再生・活用できる範囲には限りがあるということだ。
昨年10月、岸田文雄首相の所信表明演説に思わずうなった。
「早く行きたければ、一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」
政治記者として、安倍、菅の両元首相の国会演説を聞いてきたが、岸田首相が引用したこのアフリカのことわざ以上に、深くうなずいた言葉はなかった。
再生した畑のすぐそばには、誰も耕作していない田んぼが広がっている。土地改良が長年されていないため、1反に満たないサイズの田んぼばかりだが、その総面積は2町を優に超える。先ほどのコンビニでいうなれば、面積は100店分以上。これだけのコンビニを切り盛りするのに、一人の人間ではあまりに無力だ。
二つのわかったことから導かれる答えは、ここには人が必要だということ。つまり、人を呼び込む、ということが求められる。一周まわって、結局は「そりゃあそうだろうよ」という結論にたどり着いた。
現役世代にとって、地方移住にあたっての最大のネックは「なりわい」と「教育環境」。そう狙いを定め、次のアプローチを始めてみることにした。(続く)