2021年4月1日、岐阜県の南西部に位置する本巣市役所を訪れた。朝日新聞社を前日付で退社し、本巣市から「地域おこし協力隊」としての委嘱を受けるためだった。 地域おこし協力隊は、条件不利地域の課題解決や担い手育成を目指した総務省の制度。全国各地の地方自治体が主体となり、地域独自のミッションを設定して活動する人を募る。本巣市は「遊休資産(空き家や遊休農地、山林等)の活用による地域活性化」というミッションを掲げ、希望者を募集していた。「冗談かと思ったよ」 委嘱式に現れた藤原勉市長は開口一番、緊張するこちらを和ませるようにそう声をかけてくれた。キャリアチェンジや地方移住は全国のあちこちでありふれている