いつの間にか自分ごとになっていた地元再生

 岐阜市の実家が持つ畑とその周辺一帯に、大型商業施設が進出してくる──。そんな計画を、両親から聞いたことがきっかけだった。

 なんの特別なことはない、ごくありふれた畑。かつて、祖父母はそこに毎日のように自転車で通っていた。岐阜県特産の富有柿のほか、さまざまな野菜を育てていた。

 遠くに山が望め、盆地らしさが感じられるこの場所は、夕暮れ時になるとどこまでも長く影が伸びる。そんな場所が、変わっていってしまうんだな。物寂しさと同時に、担い手が減っていくばかりのこの地域はいったいどうなっていくんだろうか、とも感じた。

夕暮れ時、田畑の間を走る妻子

 変わっていく田園風景。ゆかりのある者が流出し、新たに来る者はほぼいない。

 地元に対する関心の出発点がそこだったからこそ、本巣市に来てまずやりたいことは決まっていた。遊休農地を再生する、ということだ。これが想像以上の大変さだった。