往事の新宿・歌舞伎町(写真:Richard A. De Guzman/アフロ)

 性風俗で働く人々に対して、生活・法律相談を無料で実施している「風テラス」。弁護士とソーシャルワーカーがチームを作り、債務整理、離婚、DV、ストーカーなどさまざまな相談に応じている。コロナ禍に伴う経済活動の自粛はサービス産業を中心に甚大な影響を与えているが、その中でも性風俗業界で働く女性に与えた打撃は深刻だ。事実、風テラスへの相談も2020年春以降、激増している。風テラスの代表で、『性風俗サバイバル』を上梓した坂爪真吾氏(ホワイトハンズ代表)に話を聞いた。(聞き手、篠原匡:編集者・ジャーナリスト)

──コロナ禍に伴う休業や自粛で性風俗業界は大きな影響を受けました。風テラスに駆け込む人も数多くいたのではないかと思います。当時はどういう状況だったのでしょうか。

坂爪真吾氏(以下、坂爪):毎日が戦場のような状況でしたね。2020年3月まで、風テラスの相談者数は毎月60~80人ほどで、1日の相談者が10人を超えることはまずありませんでした。ところが、東京都が外出自粛要請を出した3月25日以降、全国の性風俗店で働く女性からの相談が爆発的に増え始めたんです。最終的に、2020年の相談者数は3000人近くに達しました。2019年の800人と比べれば、4倍近い増加です。

 風テラスでは、公式サイトやメール、LINEやツイッターなどのSNSで相談を受け付け、その相談内容を見ながら風テラスの弁護士やソーシャルワーカーにつないでいくという形を取っています。緊急事態宣言が出ていた頃は私も相談対応に入っており、朝から晩までLINEやツイッターを返信している状況でした。

──どういう相談が多かったのでしょうか。

坂爪:生活費や養育費、学費に関する相談がやはり多いですね。完全自由出勤で現金日払いの性風俗では、夫のDVから逃れてきた人や精神疾患を抱えている人など、一般的な昼の仕事に就くことが難しい女性が多く働いています。ところが、コロナによる店舗の休業や営業自粛で日々の生活費を稼ぐ手段がなくなってしまいました。こういった女性は数日間働けなくなっただけで生活が破綻してしまいます。

 現に「家賃を2カ月滞納しており、追い出されるのではないかと不安」「メンタルの調子が悪く、まともに働くことができない。お店に出勤する日を増やしているが、コロナの影響で稼げそうにない」「暴力を振るう親から逃げてホテルに暮らしていたが、コロナで収入がなくなり、あと数千円しかない。保険証も住民票も何もないので給付金を受けられそうにない」など、苦境を訴える声が相次ぎました。

──どういったアドバイスをしたのでしょうか。