また、スウェーデンでも、ロシアの傍若無人の軍事的挑発に対してNATO加盟を推す声が高まっている。中立国が軍事同盟、集団的安全保障システムに入るということは定義矛盾であるが、ロシアの侵略性を再認識した上での選択である。スウェーデンもまた、何度もロシアと軍事対決した歴史がある。

 早ければ5月にも、この両国はNATOに加盟申請を出すとされているが、そうなると、プーチンは回避したかった事態を実現させることになってしまうのである。これもまた、プーチンの大きな誤算である。

 それを阻止するために、ロシアは警告を発し、様々な牽制球投げているが、この点でも「封じ込められる」という認識を持つと、ロシアがABC兵器を使用する可能性が高まってくる。

 北欧諸国の動向もまた、核戦争、第三次世界大戦の引き金となりうる。

経済制裁に即効性はあるか

 4月27日、ロシア国営のガスプロムは、ポーランドとブルガリアへの天然ガスの供給を停止すると発表した。ロシアが要求しているルーブル支払いを両国が拒否しているためだという。

 これは、西側による経済制裁への対抗措置であるが、ロシアの天然ガスへの依存率は、ポーランドが約50%、ブルガリアが約70%である。今のところ、EU諸国が代替の天然ガスを供給するということで、当面は問題なさそうである。しかし、天然ガスをはじめエネルギー資源の価格が高騰することは避けられない。実際に27日の欧州ガス市場では、価格が2割高くなった。

 それは、ロシアの収入を増やすことに繋がり、経済制裁の効果を減殺する。経済制裁が次第にロシアの首を絞めていくであろうが、中国やインドなどの友好国の助けを借りて制裁逃れの道を探ることも可能である。

 軍事的攻撃と異なり、経済制裁は即効性では劣る。しかも、消費物資の慢性的不足に慣れたロシア国民である。経済制裁が直ちに停戦を実現させると考えるのは楽観的に過ぎよう。

 この戦争は長期化する可能性が大である。