(舛添 要一:国際政治学者)
4月24日に、フランス大統領選挙の決選投票が行われた。大方の予想通り、現職のマクロンが、極右候補のルペンに勝利した。得票率では、それぞれ58.55%、41.45%を獲得している。棄権率は28.01%で、約1200万人が棄権したことになる。前回の25.04%よりも高い。
同じ顔ぶれで争われた5年前の決選投票では、20,743,128票(66.10%)vs10,638,475票(33.90%)であるから、2人の差は相当に縮まったと言えよう。
第一回投票の直後に分析したように(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69688)、今回の仏大統領選はウクライナ戦争に大きな影響を受けている。マクロンが、ロシアとウクライナの停戦交渉を仲介するなど、外交力を誇示し、それが一定の効果を上げている。
他方、戦争、そして経済制裁の影響で、食料品、ガソリン代、光熱費などが値上がりし、それが庶民の生活を直撃している。ルペンは、その点を問題にして、減税などを掲げて、庶民の支持を集めてきた。
プーチンとの距離が問題に
まずは、ウクライナ問題であるが、ロシア軍が民間人を殺戮するなどの残虐行為を働いたことが明らかになり、プーチン大統領との距離が投票の判断基準となった。
マクロンについては、プーチンと交渉するなど停戦への仲介努力は実らず、その成果を当てにすることはできなくなってしまった。しかも、在任中にプーチンを大統領保養地に招くなどしており、それも批判の対象となった。