大統領の娘婿のコネ入社疑惑も

 現在、検察が捜査を中断したり遅延させたりしている政権関連事件は、文在寅大統領が関与した月城原発1号機の経済性操作事件、蔚山市長選挙介入事件、文大統領の娘婿のソ・チャンホ氏の就職特恵疑惑、李在明候補が関与した大庄洞開発特恵疑惑事件、弁護士費代納疑惑などがある。

 まず月城原発1号機経済性操作疑惑とは、文在寅政権の脱原発政策のため月城原発を早期閉鎖しようと経済性評価報告書を捏造した事件に関し、文在寅大統領の圧力があったとの疑惑である。

 蔚山市長選挙介入事件は、文在寅大統領の長年の親友である宋哲鎬(ソン・チョルホ)氏が蔚山市長に選出されるよう、大統領府が蔚山警察庁に野党候補に対する不正捜査を指示するなどして選挙に介入したという疑惑である。当時、民情首席の曺国(チョ・グク)氏と当時の蔚山警察庁長官・黄雲夏議員(前出)が事件関係者として名前があがり、黄議員は検察に起訴されている。

 さらに、最近急浮上しているのが文大統領の娘婿をめぐるコネ就職疑惑と対価提供疑惑だ。文大統領の娘婿のソ・チャンホ氏は、ゲーム関連ベンチャー企業に勤めた後、2018年、韓国の格安航空会社イースター航空の子会社であるタイ・イースター航空の専務に転職した。

 実はイースター航空の代表である李相稷(イ・サンジク)氏は、文大統領の長年の知人で、ソ氏の専務就任直前には中小ベンチャー企業振興公団の理事長に任命されたという人物。さらに2020年には共に民主党の国会議員候補に公認され国会議員に当選している。それだけでもいかに文在寅大統領と近い関係にあったか分かるだろう。

 その李相稷氏が関連する企業に、文在寅大統領の娘婿が、畑違いの業界からいきなり採用された。李氏は「タイ・イースター航空はイースター航空と関連のない会社だ」と主張しているが、検察によると、タイ・イースター航空は李相稷氏が借名で設立したペーパーカンパニーだという。実際、2017年に設立されてからの3年間で会社の売上はたった2000万ウォン(約200万円)余りに過ぎない。

 ところが、ソ氏が専務に就任して以降の2018年から2年間で、66億ウォンを管理費の名目で支出した。この費用は職員の給料が払えないほどの赤字に苦しんでいたイースター航空側から提供されたものだ。李相稷氏の個人資金造成のためのマネーローンダリングである可能性が濃厚だ。