4月3日、グラミー賞授賞式で。2年連続でグラミー賞の「最優秀ポップ・グループ賞」にノミネートされていたが、惜しくも受賞を逃したBTS(写真:REX/アフロ)

 韓国の若い男性にとって、満20歳から満30歳までの間につかなければならない兵役は、極めて大きな問題だ。

 その兵役義務を、世界的なK-POPアーティストグループであるBTSに対しては免除しようという兵役法改正案、通称「BTS兵役特例法」が早ければ4月中にも韓国国会で可決される見通しだ。メンバー内での最年長のJINが今年12月に入隊期限の満30歳の誕生日を迎えるため、人気グループ・防弾少年団(BTS)の所属事務所側が公式に「国会で議論中のBTSの兵役免除に対する結論を出してほしい」と声をあげたことで、事態は急ピッチで動き出したのだ。

 しかし、世界的アーティストとなったBTS側が望んでいることとは言え、この動きに対して世論は意外なまでに冷たい反応を示している。

浮上しては潰えてきた「BTS兵役特例法」

 BTSメンバーの兵役免除の根拠となり得るのは、兵役法の中で規定された、特定の資格を有する者を対象とした補充役制度だ。

 本来の趣旨としては、身体的欠陥や疾病を持った身体的弱者や家族の生計に責任を負わなければならないような社会的弱者、トランスジェンダーなど、長期間の集団生活が不可能な人々のための救済制度だ。

 ところがそこには、国威宣揚した人々にも褒賞の概念で兵役を免除するという「芸術体育要員」などの規定も盛り込まれている。オリンピックのメダリスト、アジア競技大会の金メダリスト、国際コンクールでの優勝者と2位入賞者などといった詳細な基準を定め、美術、音楽、舞踊などの芸術分野やスポーツ分野でその基準をクリアした人々には、それぞれの得意分野で活動をすることで兵役の義務を果たしたとみなす規定である。

 もちろん現行のこの基準に従えば、BTSは兵役免除に該当しない。オリンピックでメダルを取ったわけでも、国際的なコンクールで優勝したわけでもないからだ。