2021年12月16日、2021韓流祭り「K-healing Online Festival」に際してオンラインで挨拶する金正淑夫人(韓国大統領府提供)

 最近、韓国国民の話題の中心にいる人物は、次期大統領の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏でもなければ、現大統領の文在寅(ムン・ジェイン)氏でもない。現大統領夫人の金正淑(キム・ジョンスク)氏だ。

 文在寅政権のこの5年間、金正淑夫人の華やかなファッションと頻繁な同伴外遊に対するゴシップが常に韓国のネット上で批判的に取り上げられてきたが、政権交代が目前に迫ってきた今、とうとう主要メディアでもこの問題を本格的に扱い始めたのだ。

「生活必需品はダイソーを愛用している」として、「庶民大統領」のイメージを作ってきた文在寅大統領にとって、致命傷になるものとみられる。

 日本の読者から見れば、「バカみたいな問題」に見えるかもしれないが、ここには複雑で古い事情が存在する。

誤報に便乗して朴槿恵前大統領を糾弾した共に民主党

 2016年に朴槿恵大統領の国政壟断事件が発生すると、韓国メディアは、朴槿恵政権と朴大統領個人とを徹底的に悪魔化した。

「セウォル号沈没当時、朴大統領は大統領府で整形手術を受けていた」「外遊で滞在した海外のホテルに黄金の便器を設置した」「大統領府官邸に四方が鏡で埋め尽くされた鏡部屋がある」など、「反・朴槿恵感情」を煽るようなニュースがネット上にはもちろん、主要メディアにも登場した。もちろんこのほとんどは出所不明の情報で作られた「意図的」な誤報だった。