5年前、就任会見に望んだ文在寅大統領(写真:新華社/アフロ)

(田中 美蘭:韓国ライター)

 まもなく退任を迎える韓国の文在寅大統領。最近はすっかり影を潜め発言なども少なくなったが、夫人の私的な衣装代にまつわる疑惑が世論をにぎわせるなど、最後まで話題を振りまいている。

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 一方で、これまで政権に忖度した報道を続けてきたマスコミは、ここに来て、タガが外れたかのように文政権のこれまでを振り返り、批判的な論調を繰り返している。

 だが、レームダック化が甚だしい政権末期の今も、文政権は抜かりなく政権の成果をアピールしている。大統領府が実施している、文政権に対する評価アンケートの設問や回答の選択肢があまりに恣意的かつ誘導的だからだ。

 例えば、「韓国が先進国と実感できる成果、政策は何か」という問に対しての回答の選択肢を見てみると……、

・世界10位経済大国 GDP1人あたり3万5000ドル
・国連貿易開発会議(UNCTAD)で発展途上国から先進国への格上げ
・世界国防費10位、武器輸出6位の軍事強国
・新たに確立されたエンターテイメントのKコンテンツ
・アフガン「ミラクル救出作戦」による隣人を助ける模範的な国

 といったものである。どの選択肢もそれなりに評価を受けたのは確かだが、裏を返せば、「批判されないような」選択肢のみを並べていると受け取ることもできる。

「我が国の誇り」などと強調していた韓国独自の新型コロナ対策「K防疫」は選択肢に入っていない。あれほど熱を上げていた「北朝鮮政策」について、一言も触れられていないのもおかしな話だ。

 今年に入ってからの韓国内の大流行を見れば、K防疫の失敗は誰が見ても一目瞭然である。北朝鮮政策について触れていないところを見ると、これも文政権が失敗と認めたようなものであろう。

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