聖域なき中露関係
ロシアと中国には歴史的な相違点がある。領土を巡って争った過去もある。マルクス主義の解釈も異なった。「しかしそれは何十年も前のことだ」とエルウッド氏は言う。北京冬季五輪の開会式に合わせた中露共同声明では中露の相互信頼に上限はなく、戦略的協力に禁じられた領域もなく、長年の友情はどこまでも進むことが高らかに謳われた。
「いまモスクワと北京のエリートの立場に立って考えると、西側はより多くの民主主義、透明性、説明責任を求めていると認識するだろう。西側は静かに政権交代することを求めている。そしてモスクワや北京の現政権が権力を失い、一般市民に分散することを望んでいる、と。だから中露両国は長い間、西側、特にアメリカの支配を嫌ってきたのだ」
エルウッド氏は続ける。
「彼らは西側の影響力が弱まることを望んでおり、法の支配に基づく国際秩序について全く異なる解釈をしようとしている。中露関係はウクライナ問題とすべて関係している。プーチン氏も中国の習近平国家主席も自分のレガシー(政治的遺産)を残そうとしている」
中国はより多くの原油・天然ガス、武器を必要としている。ロシアも欧州など西側諸国に代わる新しい市場を求めている。しかし中露関係は対称的なものではない。中国が支配的なパートナーになるのは明らかだ。これはプーチン氏が自由や民主主義、人権という西側の価値観を排するために支払う代償だ。