(資料写真、2021年3月11日、写真:AP/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国・北京で3月5日から全国人民代表大会(全人代)が開幕する。4日に開幕する全国政治協商会議とセットで「両会」と呼ばれる春の重要政治イベントだ。

 習近平政権2期目の最後にして第20回党大会前の全人代。またパラリンピック開幕と並行して行われ、そしてウクライナ侵略戦争、新型コロナ肺炎パンデミックのさなかであり、グローバル経済の不確実性に満ちた極めて特殊な状況下で行われるこの両会を、国営メディアの新華社は「世界が期待する両会」と打ち出した。この春の両会の注目点を整理しておきたい。

習近平主導の政策はどう評価されるのか

 まず中国政治ウォッチャーにとっては、秋の党大会前に習近平の権力基盤がどの程度強固であるかどうかを見定める機会でもある。

 中国政策科学研究会経済政策委員会の徐洪才がロイターに対して「安定がすべてを圧倒する。安定的発展を作る環境が必要だ」とコメントしている通り、2022年の全人代は「安定」が掛け声であり、経済にしろ、人事にしろ、あまり大胆な波風の立つような政策は打ち出されないだろうとみられている。

 しかし、ウクライナ戦争による市場の動揺、ロシアの侵略行為に対して中国が非難せずむしろ肩入れしているような様子に西側社会の攻撃が続いており、中国経済の安定維持はさらに難易度が高くなっている。