経済活動の足を引っ張り続ける新型コロナ

 財政収支を改善するためには、できるだけ財政支出を減らす一方で、国内の経済活動を活発にして税収を増やすというのが王道だ。

 だが現在は、経済活動を阻害する大きな要因が存在する。韓国に限ったことではないが、そのネガティブ要因となっているのは新型コロナだ。

 このコロナ対策でも手詰まり感が出ている。

 韓国の新型コロナ感染者は2月16、17日と2日連続して9万人を超え、国家数理科学研究所によれば来月初めには最大で36万人、死者は1日680人に達する可能性があると指摘されている。まだピークアウトの兆しはない。16日には一気に3万人以上増加しており、同研究所はこれまでの感染者の増加を比較的正確に予測してきたと評価されている。

 そうした中、金富謙(キム・ブギョム)首相は、11日の中央災害安全対策本部会議で「社会的距離確保を調整することにより、経済的・社会的影響を極少化することを極めて重要な課題」と発言し、18日から「私的会合6人、営業時間午後9時まで」としてきた制限の緩和を検討しているとした。感染者が10万人台に近づいても防疫緩和基調に変化はない。

 感染拡大が続く中でも制限緩和に踏み切らざるを得ないのは、「営業規制撤廃」「損失補償」を求める自営業者らの抗議活動が頻発してからだ。抗議集会に参加した自営業者の中には、その場で断髪を行い、その髪を渡すため青瓦台まで行進をした者が何人もいたという。

 韓国政府の自営業者に対する補償は、日本や欧州諸国の10分の1水準だ。そのためにこれまで1日平均1000件の自営業者が廃業してきた。自営業者を救済しようと思えば、政府予算のさらなる増大を招き、財政収支の悪化につながる。それが出来ないかわりに、制限緩和に踏み切らざるを得なかったのだ。