ただ、コロナ感染急拡大の中、社会的距離確保の政策を緩和させれば、コロナ感染者は一層増大する可能性がある。そうなれば社会活動がまた停滞する大きな要因になる。

 一時は「K防疫」の成果を誇ってきた文政権だったが、結局それは国民の犠牲によって得られた成果でしかなかった。国民にこれ以上の犠牲を強いられない段階になった今、文政権の感染対策は逆回転をし始めたということだろう。

韓国経済から活力を奪ったのは誰か

 歴代の大統領、企業経営者、そして多くのビジネスマンや国民の努力によって目覚ましい発展を遂げてきた韓国経済だが、文在寅大統領に、経済理論からかけ離れた空想的経済政策により、その果実は食い尽くされてしまったようだ。次期大統領が誰になろうが、国庫にも民間企業にも余力はほとんど残っていない。

 それでも各候補者は大統領に当選するため、バラマキの公約を乱発している。おそらくめでたく当選できても、それを実行する原資を見つけるのは極めて困難だろう。文在寅政権の残した傷跡はあまりにも深い。

 次期政権は誰が大統領になろうと基盤の弱い政権とならざるを得ない。李在明氏は、今の与党共に民主党の主流ではなく、支持率が落ちてくれば、主流派のサポートは得られないだろう。野党が政権を取れば、国会で60%の議席を革新系が占めていることから、新たな政策を進める余地が限られている。バラマキ政策についても革新系に予算が抑えられる可能性がある。

 こうした状況を考えると、文在寅政権によって失われた活力を取り返すのは容易ではない。その間に韓国の人口は減ってくる。韓国にどのような未来が待っているのか。心配な要素が多すぎる。