「今までと全く異なる方法でスーツを測定」の証言も

 高梨と同じように他国4選手も1回目、もしくは2回目のジャンプを終えた後にスーツ規定違反で失格処分を下されている。ちなみに失格処分を課せられた5人はいずれも強豪国でビッグジャンプを見せた女子選手だった。

 有識者の間からは「ビッグジャンプとなったことで狙われ、目を付けられた可能性は高い」とする声も出ている。

 さらに、失格処分となったノルウェーの女子選手は欧州メディアに「彼らは明らかに今までと全く異なる方法でスーツを測定していた」との重大証言を口にし、そのスーツ計測の際にこれまでのワールドカップ(W杯)の時とはまるで違う姿勢で腕を頭の上に置きながら立つように強要されたことも赤裸々に暴露している。

 ノルウェーだけでなくドイツ、オーストリアの代表チームの監督、チーフをはじめ各国のノルディックスキー・ジャンプ関係者は怒り心頭で、日本からも北京五輪において同競技のIF(国際競技連盟)として統括する国際スキー連盟(FIS)への批判が未だに止まらない。

 ジャンプ競技のマテリアルコントロール(器具チェック)を担当するポーランド人のFIS所属役員は測定方法の変更を強い口調で否定している。FIS側の説明によると今大会で違反となったのは、すべてが北京五輪用のために製作されたスーツで規定よりも大きいことから浮力の面で有利になっていたという。

 とはいえ各国のチームではW杯の転戦中に選手たちがスーツを着用しながら試行錯誤を重ね、規定ギリギリのいわばグレーゾーンでベストフィットの勝負服を完成させていく流れは主流となっている。こうした背景を基に総合的に検証し直してみると前出の4カ国を狙い打ちし、あえて北京五輪で通常とは異なる検査方法を強いることで意図的に違反へと結びつくように仕向けたとする説は、あながち「SF」と受け流すことはできない。