不可解なまま幕を閉じた。20日に閉幕を迎えた北京冬季五輪のフィギュアスケート女子で暫定4位に終わった15歳のロシア人カミラ・ワリエワ(ROC=ロシアオリンピック委員会)を巡る騒動はスポーツ界全体に大きな爪跡を残した。
金メダルが確実視されながらもワリエワはROCの一員として出場した団体で金メダル獲得後に自身のドーピング問題が発覚。昨年12月25日のロシア選手権で採取されたワリエワの検体から、禁止薬物トリメタジジンが検出された。ロシア反ドーピング機関(RUSADA)に世界反ドーピング機関(WADA)の検査所から分析結果が報告されたのは奇しくも、その北京五輪でROCが団体1位となった今月7日のことだった。
WADAがワリエワの検体を受け取ったのは昨年12月29日。RUSADAに報告されるまで本来ならかかるはずのない1カ月半もの時間が費やされているのも、関係者の間では「謎」とされている。
「食器類などからの誤飲は到底考えられない」
RUSADAから暫定資格停止処分を科せられたワリエワ側は異議申し立てを行い、これを受けてRUSADAの反ドーピング規律委員会が同処分を解除。RUSADAの解除に反発した国際オリンピック委員会(IOC)やWADAなど複数の国際機関からの提訴を受けたスポーツ仲裁裁判所(CAS)は14日午後、ワリエワの大会出場継続を認めて訴えを退けた。
その最大の理由はワリエワがWADAの規定に昨年1月から記載されている16歳未満の「保護対象者」に当たり、自分自身で判断を下していないにもかかわらずドーピングにかかわってしまうことも十分にあり得るケースについて配慮されたからであった。