2月7日に行われた男子ショートトラック1000メートル準決勝で、先頭を行く韓国の黄大憲がそのままトップでゴールしたが、その後のビデオ判定の結果、失格とされ、中国の任子威と李文竜が決勝に進出した(写真:ロイター/アフロ)

 中国に対する韓国人の反感が北京五輪を機に爆発している。

 北京冬季五輪の開幕式で韓国の伝統衣装の韓服(ハンボク)と韓国文化が中国少数民族の文化として紹介する映像が流されたことや、韓国選手の金メダルが期待されていたショートトラック競技で釈然としない判定が相次いだことが、韓国社会の反中情緒に油を注いだ。韓国社会に燃え広がったこの反中感情は、1カ月も残っていない大統領選挙で、与党の李在明(イ・ジェミョン)候補にとって大きな悪材料となりそうだ。

中国選手の前を行く選手が次々失格に

「大統領選挙は韓中戦!」。これは、7日夜、北京冬季五輪ショートトラック男子1000メートルの競技が終わった直後、韓国のオンライン上で熱く盛り上がったスローガンだ。

 同日の試合では、韓国男子ショートトラックの看板スターの黄大憲(ファン・デホン)と李俊瑞(イ・ジュンソ)が釈然としない判定で決勝戦にも立てなかった。黄大憲と李俊瑞は準決勝の別の組で登場し、それぞれ1位、2位でゴールしたが、審判がビデオ判定を通じて二人とも失格処分としたからだ。黄の失格によりその組では中国の2選手が、また李の組ではハンガリーと中国の選手が決勝に進出した。

 決勝戦でも波乱が起きた。1位でゴールしたハンガリーの選手が審判のビデオ判読の結果、進路妨害で失格とされ、2位と3位でゴールした中国選手がそれぞれ金メダルと銀メダルを獲得する結果となったのだ。

ショートトラック男子1000メートル決勝でトップでゴールインした後に、反則による失格の判定に呆然とするハンガリーのシャオリンサンドル・リュウ(左)。彼の後にゴールした中国の任子威が金メダル、同じく中国の李文竜が銀メダルを獲得した(写真:ロイター/アフロ)