韓国世論、「反日」よりも「反中」に

 政治家が国民の怒りに素早く反応するのは、日々高まる韓国内の反中情緒が、来る大統領選挙に影響を及ぼす可能性が濃厚になってきたためだ。

 2021年5月、世論調査機関の韓国リサーチは、韓国の成人1000人を対象に、周辺国に対する韓国人の感情温度を調査した。「非常に好意的」を100、「非常に否定的」を0にした場合、韓国人の感情温度は、米国が57.3、日本28.8、北朝鮮28.6、中国26.4の順だった。反日感情が高まった2019年下半期の同調査では、中国が35.6、日本が21.0だったのだが、それが2年ぶりに逆転したのだ。年齢別にみると、20代が15.9で中国に対する反感が最も強く、60代以上が31.8で最も弱い。

 経済専門誌『毎経エコノミー』が同時期に調査した「反中感情認識アンケート調査」によると、回答者86%が「最近、韓国社会で反中感情が大きくなっている」と答えた。

 韓国で中国に対する反感が本格化したのは、武漢市が発生源とされる新型コロナが決定的だった。さらに、韓国史の一部である高句麗を中国の歴史に編入しようという試みが含まれた中国政府の「東北工程プロジェクト」も、韓国人の怒りに火をつけた。