2022年の春闘が始まった(写真:ロイター/アフロ)

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(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

 経団連は1月25日に、連合や産業別労働組合を招いた「労使フォーラム」をオンラインで開催した。2022年の春季労使交渉が事実上スタートを切ったことになる。

 労使交渉でベースアップが広がれば、マクロ経済全体でも賃金上昇が起こりやすい。本稿では、昨年までのベースアップの動きを振り返った上で、今年の春闘の注目点を整理する。キーワードは「二極化」だ。

マクロ経済ではベースアップが重要に

 春闘では、賃上げ率(月例賃金引き上げ率)や一時金の水準を巡って交渉が行われる。賃上げ率は、定期昇給など賃金カーブに沿って引き上げられる分と、賃金カーブ自体が上方シフトすることで引き上げられる分がある。

 前者は昇給率、後者はベースアップ率と呼ばれる。経団連や連合は、両者を区別して交渉する企業・組合を対象に集計している。

 一人の労働者にとっては昇給率もベースアップ率も重要となる。一方、マクロ経済全体でみれば、一人の労働者が賃金カーブに沿って定期昇給しても、それは受け取る人が入れ替わるに過ぎない。

 それゆえに、マクロ経済全体でみた一人当たり平均賃金としては賃金カーブのシフトがより重要となる。また、厚生労働省が発表する一人当たりフルタイム基本給も、賃上げ率ではなくベースアップ率におおむね連動する。ベースアップ率の要求、妥結状況が注目されるのはそのためだ。